こちらは、日々、受験英語に携わる管理人が、精魂込めて受験生にお届けする、
共通テスト関連記事です。
令和3年度の「共通テスト」英語リスニング試験の放送英文中で使われていた英単語分析を、
過去3回にわたりお伝えしました。
※「大学入学共通テスト」英語リスニング試験分析の全記事一覧はこちらです。
そんな中、この過去問を何度となく見返しているうちに、
共通テストのリスニング試験の大まかな傾向やクセのようなものが見えてきました。
この試験の根底に流れるメッセージのようなものが、ひしひしと伝わってきます。
そんな出題者の意図や問題のクセをおおまかに把握した上で、
これに対する対策や解法のコツ、ぜひ押さえておきたいポイントなどを、
大問別に細かくお伝えできればと思います。
特に難関とされる第5問についても、大きな傾向が見えてきましたので、
あますところなくお伝えできればと思っています。(←これはまた別記事にて!)
ぜひ、過去問集を解く際などに、プラスアルファの解説として、ご参考にしていただけると嬉しく思います!
※この記事の分析の対象は、令和3年度実施の2回分の共通テスト・リスニング試験となります。
全体的な傾向、リスニング試験の意図は?
当たり前のことですが、試験問題というのは、出題の意図に沿う答えを選んだり、解答したりするもの。
つまり、出題者の出題意図に一致した解答をする必要があるわけです。
これはすなわち、出題者の気持ちや指示を的確に理解する能力が問われているということですよね。
そんな風に、他者の意図や要求にしっかりと聞き耳を立て、正確に論理的に思考する素養は、
大学入学後に一層必要とされる能力ですよね。
たくさんの学生たちの中で、他者を理解し、なおかつ、自分の考えを相手に分かるように、
論理的に伝えるために必要になる力かと思います。
共通テストのリスニング試験に込められている出題者からのメッセージは、
英語の知識や音声の聞き取り能力、問題の設問指示の正確な把握はもとより、
話し手の言葉一つ一つに真摯に耳を傾け、これを素直に解釈しようとしていますか?というもの。
勝手な思い込みなどで解釈せず、話を最後まで聞いて、話し手の意図をきちんとキャッチできていますか、と。
ただ、共通テストのリスニング試験では、その表現があれやこれやと形を変えて出てくるのです。
(元の放送文と選択肢とで表現が一致していて、即座に合うものを選べるというケースはまれです)
つまり、表現が違ったり、ちょっと暗示的な表現などでも、発話者の意図を正しくくみ取れるか、
頭の中で、即座に「つまり?」と思考転換できるか、簡潔に要点をつかめるか、
といった力などが問われている問題が非常に多いように感じます。
これから大問ごとに、その傾向や大まかな対策、コツなどを見ていきますね!
ぜひ、そんな「つまり?」という出題者の意図を感じてみてください。
「第1問A」の傾向、対策、コツ
設問文自体に「英語を聞き、それぞれの内容と最もよく合っているものを・・・選びなさい。」とありますね。
「つまり」、発話者の発言内容(話し手の気持ちなど)とイコール関係のものを選びなさいということ。
一文聞くごとに、「つまり?」と話者の意図を簡潔に頭の中で言い換えてみてください。
放送英文と選択肢の正解英文とで、そんな「つまり?」の言い換え表現を随所に見て取れますよ。
ちなみに、第1問Aの選択肢は、主語や動詞などが同じであったり、けっこう似通った表現が並びますね。
4つの選択肢をざっと見て、異なる点に着目して、正解を選び出せると良いですね!
第1日程(1月16日分)より
問1:Can I have~?「~をいただけますか?」ということは、
「つまり」、話し手はジュースを欲しがっている(=ask for~)と解釈できるわけですね。
問2:放送文の go が、選択肢では visit に置き換わっている形です。
問3:放送文の to start working が、選択肢では will begin his job に。
問4:話し手から見れば give(与える)が、受け手から見れば get(もらう) に入れ替わります。
放送文と正解英文とで立場が逆になった場合の、「つまり?」の入れ替え表現になっています。
こうした基本動詞の対義のイメージを頭に入れておくことも大事ですね。
第2日程(1月30日分)より
問1:When~? 「いつ~なの?」とたずねているのですから、
話者は「つまり」、the time について聞きたいのだということが分かります。
問2:but 以降がカギ。つまり「青色しか持っていない」。
接続詞 but(弱形)と、blue ones の ones(複数形)の聞き取りがポイントです。
blue ones の方には、前に a などの冠詞が付いていませんね。
この英文の red tie の前には冠詞 a が付いていますので、冠詞がある場合と無い場合とで、
音の比較ができると思います。ぜひ過去問の音声を聞いて確かめてみてください。
(—> 教学社の音声サイトへ)
問3:Would you tell me ~?「~を教えて」とお願いしています。
「つまり?」、話者はその情報が want 「欲しい/知りたい」のですね。
問4:話者はまだラッピングを終えていない、遅れるけど行かないとは言っていない。
「つまり?」、これから行くためにラッピングをする状況であると把握できます。
「第1問B」の傾向、対策、コツ
このBの問題も、「内容と最もよく合っている絵を・・・選びなさい」というイコール関係を結びつける問題。
Aとは違い、英文と英文の一致ではなく、英文と絵を「つまり?」で一致させる問題。
絵を説明する英文は、その場面をストレートに説明する表現ではないことが多いので、
頭の中で「つまり?」という転換が必要かもしれないと心の準備をしておくと良いと思いますよ。
そして、まず、4つの絵を見てすぐに、何が違うのか、相違点に目を付けておくのがコツですね。
第1日程(1月16日分)より
問5:4つの絵で、帽子をかぶっている人数が違います。
直接「何人が」とは言わず、「ほぼ全員が」という表現を、絵として転換できるかがポイント。
問6:Tシャツの絵柄が違います。
ストレートに「ハート柄を買っている」とは言わず、
「すでに持っている柄とは別の(another)デザインを」という表現を聞いて、
「つまり、どれ?」と思考転換する必要があります。
ちなみに、ネコとイルカの絵を、英文では animal という総称表現でまとめている点にも注意です。
問7:誰がという主語と、描いている絵の中身が異なります。
英文末尾の herself は、主語である「少女の母親自身」のことを指す再帰代名詞ですね。
herself が少女を指すのか、彼女の母親のことを指すのか、とらえ間違いのないように注意です。
また herself の her は、とても聞き取りにくい代名詞ですので、気を付けてみてくださいね。
(—> 教学社の音声サイトへ)
第2日程(1月30日分)より
問5:掲示板に書かれている「できること」と「できないこと」が異なります。
接続詞 but(弱形) を介して、前後の can と can’t の聞き取りがポイント。(—> 教学社の音声サイトへ)
しかも、can’t と camp も大変似通った音に聞こえますね。
イラストから予測は付いたとは思いますが、このかすかな音の聞き分けを過去問音声でチェックです。
問6:「誰が」という主語と、言っている内容(皿の数)が異なります。
直接「2枚の皿を」とは言わず、both plates という表現になっているので、
これを「つまり、皿2枚のこと」と即座に転換できるかがポイントです。
both の「th」の発音にも注意です(舌の先を軽くかむ感じの音)。(—> 教学社の音声サイトへ)
また、The chef is telling の chef を何となく男性とイメージしてしまう場合もあるかと思います。
ここではシェフは(おそらく)女性で、男性がウェイターという設定ですね。
思い込みではなく、絵を正確に見て判断することも必要。
問7:地図上の公園とカフェの位置が異なります。
これもストレートに肯定文で、「カフェは公園より遠い」とは言わず、
これをあえて否定の裏返し表現を用いて、「公園はカフェほど遠くない」と表現しています。
この否定の比較表現 not as ~ as を、正しくイメージに転換できるかがポイント。
比較表現はよく出ていますので、比較イメージを脳内に刷り込んでおく感じで。
また、as は聞き取りにくい語かもしれませんね。
特に not as は 音が連結しやすく、早くて聞き取りにくい語句かと思いますので、
過去問の音声を繰り返し聞いてみてくださいね。(—> 教学社の音声サイトへ)
「ノラズ」のように「t」と次の「a」の音が変化して聞こえる場合も( t のフラッピング音)。
ちなみに、ここでの「公園」と「カフェ」の地図アイコンは、続く第2問でも同じものが出てきます。
また同じものが出るかは分かりませんが、このアイコン画像を念のため覚えておいてもよいですね。
(特に木の絵が park を意味する点など)
「第2問」の傾向、対策、コツ
短い対話の後に、問いの英文が流れる問題です。
対話の場面が問題用紙に日本語で書かれているので、これが話の主題をつかむ大きなヒントになりますね。
これも、ああでもないこうでもないという対話を最後まできちんと聞いて、
つまり「どれ?」、「どこ?(場所・位置)」と、正解になる絵を一致させる問題です。
この問題も、第1問のBのイラストの問題と同様に、まず、ぱっと見で違いを把握しておくと良いですね。
また、対話の後に流れる問いの英文では、「何・だれ」のことについて問われているのか、
主語を把握して、2回目の音声では、その主語にさらに注意を払って聞いてみると良いですね。
(対話の2人のうち男性はどうするか?という問いの場合なら、男性の発話に注目するなど)
第1日程(1月16日分)より
問8:対話を最後まで聞いて、「つまり、どれ?」という質問を、絵で答える問題。
この問題は、「つまり、どういうこと?」という思考転換を問うというよりも、
何がどこに付いているかという位置を示す前置詞句を正確に聞き取れるかがポイントだったと思います。
(物や場所の位置にまつわる問題は、英文自体は内容をストレートに説明するものなのですが、
そこには何らかの音の聞き取りポイントがある場合が多いという印象です)
この問いの英文は、a とか on、the など弱形の機能語が多く、早くて聞き取りにくいですよね。
でも、a cup on the top、a big handle on the side、has a strap など、
イントネーションが置かれる内容語がだいぶヒントになると思いますよ。(—> 教学社の音声サイトへ)
これに加えて、no や but など、話の流れが変わる逆接語をいかにつかむかもポイント。
問9:これも対話を聞いて、「つまり、どれ?」に答える問題です。
対話の1文ごとに、解答へのヒントが濃くなっていく流れですね。
「動物 –> かわいいだけじゃダメ –> いろんなことができないと –> 掃除とか!」
まさに対話の最後まで展開を追って、はじめて「つまり、どれ?」に答えられる問いですね。
問10:これも対話の1文ごとに、ヒントが満載の流れですが、
最初の garbage bags 以外、ストレートに物を指す英単語が出てきません。
「汚れるから —> 軍手が必要」、「よく晴れるから —> 帽子が必要」と、
話し手の意図を「つまり?」とくみ取って、適宜、絵として転換していく必要がある問題です。
もう一つポイントが! 出だしの「Don’t you need ~?」という否定疑問文に注意です!
これに No と応えています。これは「No, I don’t. (いらない)」ですね。
(日本語だと、思わず「うん、いらない」という意味で Yes と言ってしまいそうな流れ)
共通テストのリスニングでは、この否定疑問文も非常によく出ている印象なので、
否定疑問への Yes, No の受け答えの練習もしっかり目に!
(英語では常に、「いる」なら首を縦に振って Yes, 「いらない」なら横に振って No)
問11:対話を聞いて、「つまり、どこ?」と、位置を答える問題です。
位置を問う設問では、表現はストレートなのですが、聞き取りポイントがあるものが多いですね。
ここでは、問8と同じように、位置・場所を示す前置詞句が満載で、これが早くて聞き取りにくい!
down there、next to、lockers、across from、restrooms、at the end、before、stairs
などの語が聞き取りのポイントに。
ぜひ過去問音声をチェックして、少しでも多くの音に慣れておけますように!
例えば、across の出だしの「a」の母音はあいまい母音で聞こえにくいですので、注意です!
(—> 教学社の音声サイトへ)
第2日程(1月30日分)より
問8:これも最後の最後、問いの英文までをきちんと聞き取って、「つまり、どれ?」に答える問題。
問いの after the conversation の after は接続詞で通常は弱く読まれる語ですが、
ここではゆっくり目にイントネーションが置かれて読み上げられていますね。
この問いはこれこそがしっかりと聞き取るポイントということです!(—> 教学社の音声サイトへ)
1文目の take~off と put~ が and を介して、対の意味で使われているという話の展開も
聞き取れたか確認してみてください。(—> 教学社の音声サイトへ)
take off の off や、and、there など、意外と聞き取りに注意かもしれません。
問9:対話の展開を追って、最終的に「つまり、どこ?」と、位置を答える問題です。
ここでも、位置を答える問題は、英語表現はストレートですね。
理解や思考転換が要されるというよりも、英文自体の聞き取りがポイントになるかと。
ただ、やはり位置関連の語句が多用されていますし、音声スピードも早いので、
できるだけ聞き慣れておいた方が良いと思います。
near、between A and B、across from などが出てきますが、
across from は第1日程の問11のエレベーターの位置を問う設問でも出てきましたね。
やはり across の a の音が聞き取りにくいので注意です。(—> 教学社の音声サイトへ)
問10:この問いは、話の展開を追いながら、「つまり?」と思考の転換を要する問題。
ストレートに「それは高いからダメ」「チキンのが安くていい」「ポテトとチキンのにする」
という英語表現ではないので、話の展開を追いながら、「つまり?」、「つまり?」と、
話し手の意図を理解して選択していく必要が。
最後の I don’t want salad の don’t も聞き取りポイントです。
否定語のあるなしで意味が変わってしまいますので、大事ですね。
英文中で、don’t にイントネーションが置かれるのでとらえやすいとは思いますが、
don’t want のように、don’t の末尾の「t」と want の「w」のように子音が続くような場合、
don’t の「t」の音が落ちがちなので、念のため、don’t want のような連語の音を例に、
don’t を拾えるか、音声で確認しておくと良いと思いますよ!(—> 教学社の音声サイトへ)
問11:問9に続き、こちらも位置を問う設問。
位置を問う設問の英文は、表現はストレートなので、ポイントは位置を示す語の聞き取りですね。
(第1日程の問11(位置問題)と同じく、また next to が出ていますよ)
ただ、この対話文では、問いの対象の Tomo 以外に複数の人物が登場する分、展開は複雑に。
丁寧に話の流れを追っていく必要があるかと思います。
また、ここは意外と聞き取りやすいですが、him、his、her など代名詞の聞き取りもポイントです。
「第3問」の傾向、対策、コツ
2~3往復程度の短い対話文を聞いて、「つまり?」に答える問題。
ここでは、対話の場面も問いの英文も問題用紙に書かれていますので、
英文を聞く前に、ある程度状況の予測はつきそうです。
ただ、だからと言って易しいとは言えず、選択肢にひっかけがたくさんひそんでいますね。
対話文中に出てきたキーワードが選択肢の英文の中にあれやこれやと散りばめられていて、
いざ正解を選ぼうとするときに、どれも正解に思えてしまうので細心の注意が必要です。
(放送文で聞こえてきた単語が含まれていると、どうしても正解として選びたくなってしまいますが、
どうも一番放送文と遠いように見える選択肢こそが正解に近いケースも多そうで。あくまでも印象として)
さて、まず何より、英語で書かれている問いの設問文を読んで、
誰について問われているかなど、先に目を通しておきたいところですね。
ただ、これを事前に読む時間があるかどうか…。
でも、できるだけ先に問いの英文の主語だけでも把握しておけると良いのですが!
また、問いの中には、Which is true ~? などのように、そもそも誰に焦点を合わせたら良いか
定められないものも含まれておりますので、これはより一層注意して、全体の流れをとらえる必要が。
また、対話文中に、否定語が多く登場する印象も。
否定疑問も多く、これが聞き取りを難しく感じさせますね。
やはり否定疑問への受け答えの感覚を、しっかりと押さえておく必要ありかと思います。
第1日程(1月16日分)より
問12:選択肢には対話文に出てきたキーワードが満載ですね。注意が必要です。
Corby先生の最後の発話まで聞いて、「つまり?」と思考転換が必要な問題。
対話文にはストレートに「have to ~」(~しなければならない)という表現は出てきません。
ただ、「ミーティングがある。それを欠席できない」とあり、「つまり」会議への出席が必要と解釈。
can’t の否定語の聞き取りがポイント。
否定語は、弱形ではなく、しっかりと長めに発音されるので判別しやすいかと思います。
(—> 教学社の音声サイトへ)
問13:放送英文に位置関連の語句がたくさん出てきますね。
しかも、問いの英文中にある put が何度も出てきたり、
キーワードとなる first も、正解ではない語とともに登場するために、
正解を選ぶ際に、ついつられてしまいそうに。
また、問いの英文では、「何が put away されるか」と受動態で表現されていますが、
対話文中ではストレートに「〇〇が put away される必要がある」とは表現されません。
「物が(誰か人によって) put away される」という受動の表現が、
対話文中では、「物自体(箱)が目的地に go する」という自動詞による能動表現で出てくるのです。
しかも、対話文の出だしにこの表現が出現することで、つい聞き逃してしまいがちに。
表現の入れ替えにも注意が必要ですし、対話は第1文目から気を入れて聞く必要ありという例ですね。
問14:否定語、否定疑問が満載の対話文です。流れ、とらえられていますか?
didin’t, no などの否定語もきちんと聞き取れていますか?
この問いは、Which is true~?タイプですので、放送を聞く前に対象を定めることができません。
しっかり対話文の流れを追って、「つまり?」に答えないといけない難問ですね。
しかも、選択肢には対話文に出てきた email、sent、wrong などのキーワードが満載。
対話文の「no email」という表現を、「つまり?」didn’t get an email と思考転換する必要ありです。
念のためですが、wrong を long などと聞き間違えないようにも気を付けてくださいね。
問15:これも選択肢にまぎらわしいキーワードが満載ですね。
しかも、やはりストレートに一致する正解文を選べる問題ではありません。
対話文では肯定文であるものが、正解の選択肢では否定文となっており、
正解を選ぶには、「つまり?」の思考転換が必要になります。
細かい点ですが、この対話文でも、not、never などの否定語や、
逆接の but をしっかりと拾って、対話の流れをきちんと追えますように。
問16:これも「つまり?」の思考転換が必要な問題。
男性自身は、「チケットが取れなかった」とストレートには言っておらず、
「買おうとしたけど売り切れだった。もっと早く取るべきだった」という後悔の表現から、
「つまり、どうしたの?」と解釈する必要があります。
また、この対話文中でキーワードとなる get という動詞は、意外と聞き取りにくく、
しかも、get a ticket や、get it というように、後ろの語と連結して音が変化しやすい語ですね。
この対話文での発音も何度も聞いて、音に慣れておくといいですね。(—> 教学社の音声サイトへ)
また、問いの英文にある bad mood は、対話文の最後に出てくる upset と対応している形です。
問17:これも対話文を最後まで聞いて、「つまり?」と簡潔に解釈をまとめ上げる問題ですね。
正解ではない選択肢の方にこそ、それらしいキーワードが多くちりばめられている印象。
can’t や isn’t、don’t、not などなど、否定語が満載で、聞き取りに注意が必要です。
特に can’t は長めに強く発音されるケースが多いので通常は聞き取りやすいと思うのですが、
ここでは「キャーン(トゥ)」というより「カーン(トゥ)」に近い音に聞こえますね。
イギリス英語で多い発音のようですが、こうした音のバリエーションにも注意です。
ちなみに、この女性の発言で出てくる over there の there は「ゼア~」というより、
「ゼー」のように、語尾の「r」の音が感じられませんね。これもイギリスに多い発音のようです。
こんな風に話し手によって音が変わり得るケースも想定し、柔軟に解釈していけますように。
ぜひ過去問で音のチェックを!(—> 教学社の音声サイトへ)
第2日程(1月30日分)より
問12:Which is true ~?タイプと同様、どちらか一方に対象をしぼることのできない問題。
両者に共通する事項としては、男性の最後の発言の I need meny, too. の too がヒントになりますね。
「つまり」、それぞれの将来のためにお金を稼ぐ必要ありという解釈にまとめる必要あり。
ただ、この選択肢にも、対話文中に出てきたキーワードがちりばめられているので、要注意です。
問13:これも、ストレートに「写真を消さなきゃ!」などの表現は出てきません。
「その写真、人に見てほしくない」という話し手の気持ちから、「つまり、どうするの?」と、
論理的に話者の次の行動を予測する必要がある問題ですね。
問14:「それ」「もう一方のほう」などの指示語表現にまどわされそうな問題。
ストレートに何色の方という表現ではないので、「つまり?」で思考転換が必要ですね。
one、other、another などの不定代名詞の基本的な用法も押さえておけますように。
問15:Which is true ~?タイプの問いで、あらかじめ対象を絞れない問題。
しかも、選択肢にひっかけのキーワードが満載ですね。
かえって正解の選択肢が一番対話文の英文から遠いようにも感じられるかもしれません。
haven’t、wasn’t などの否定語の聞き取りや否定疑問文にも要注意です。
ちなみに、赤本の過去問解説にもあるように、for と four の発音の違いにも注意したいところ。
対話文では I haven’t seen you for ages. とあるものを、選択肢では four years ago と
ひっかけの表現が使われているんです。
前置詞の for は弱形で短く読まれイントネーションも置かれないことが多い点が、
数値の four の音とは区別しやすい点かとも思います。
例として、この第2日程試験の第4問Aの問18-21の放送の第1文目を聞いてみてください。
ちょうど「four」が出てきます。この問15の前置詞「for」とは音の違いを感じられると思いますよ。
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問16:ここも、ストレートに、対話中に「〇〇しなくては!」という表現は無く、
ああでもないこうでないと話が展開し、「つまり、どうする?」と簡潔に解釈する必要が。
選択肢には、対話文に登場する人物名も出ているので、思わずつられそうに。
ちなみに、女性の最後の発言で、his が2回登場しますね。これ聞き取れました?
とても聞き取りにくい代名詞の一つだと思いますので、念のため過去問音声でチェックを。
(—> 教学社の音声サイトへ)
問17:これも「ランチを食べにいって、それから戻ってくる」という表現を、
「つまり?」で思考転換し、ホテルの外でしばし時を過ごすと解釈する必要が。
選択肢にはやはり対話文中に出てくる語が多くまぎれているため、まどわされそう。
ちなみに、対話文中の、not until や 最後の発話の接続詞 and は弱形で聞き取りにくいので、
過去問音声でぜひチェックしておきたいところですね。
(—> 教学社の音声サイトへ)
思った以上に書きたいことがいっぱいで、長い記事になってしまいました。
まずは、いったんここで区切って、第1問~第3問までの分を先にお届けすることにしますね!
正解を選ぶ際の「つまり?」の思考転換については、
最終的には即決できる力が必要になると思いますが、
まずは発話者の意図をしっかりととらえられるよう、少しでも多く過去問で練習を積めますように!
特に、否定疑問文や比較表現などの解釈は慣れも必要ですし、焦らずじっくりと取り組んでみてくださいね。
ただ、このリスニング試験では、できるだけ早い段階で速読力を鍛えておいた方が良い面も。
この第1問~第3問までは、放送文に入る前に問題や状況などに目を通す時間が特に与えられませんね。
本来であれば、問いの場面や問いの英文、選択肢などに事前に目を通す時間が欲しいところ。
この時間を問いと問いの合間などにどう確保するかがカギとなりそうです。
そのためには、パッと読んで、パッと主題や質問意図をキャッチできる速読力が欲しいところ。
ちなみに、この記事のシリーズで、最初の方にご紹介した下記の書籍で紹介されていたのですが、
英語の動画などを見る際には、字幕を出して読みながら音声を聞いていくという訓練法が出ていました。
これ、私も試していますが、音の聞き取りにプラスして、英文の速読力を上げるのにも最適だと思いますよ!
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あるいは、この共通テストの過去問を使っても訓練できそうですね。
たとえば、放送英文(スクリプト)を目で追いながら音声を聞いて、どんどん英文を理解していくというように。
長年英語に携わってきたとはいえ、自分自身が英語のリスニングをすごく苦手としてきたこともあって、
この試験を、どう攻略すれば良いのか、残された時間でどんな点を強化できるのか、
もし自分ならどうする?!という思いで書いているうちに、つい長くなってしまいました。
どうか何か少しでも勉強のお役に立てれば良いのですが!
とにかく、続きもまたできるだけ早く書ければと思っています。
このリスニング試験は本当に大変だと思いますが、
こうした「つまり?」で、しっかり相手の意図を解釈できる論理的思考力は、
大学入学後に大いに生かせる能力になりますね。
ぜひ出題者の思いに応える気持ちで、試験勉強にのぞんでみてくださいね!
受験生、体調にはくれぐれも気を付けて、がんばれ!